寄る辺
言葉、それが芸術か否かはさておき、残すタイミングというものが存在するように思えます。その齢、季節、出会い、別れ、心境変化、それを成熟と呼ぶべきか、はたまた退行なのかはわかりませんが人生のある一定の期間にしか書けないものは間違いなく在ります。その中でとりわけ「遺書」というものは果たして今際の際に書くものなのか、それが然るべきタイミングなのかと悶々としておりました。私の人生はとっくに私の手を離れていて、創作に魅せられたといえば聞こえが良いですが、その大きさ故に輪郭を捉えることすら難しい概念に先導してもらわないと足が先へ進まないのです。遺書を残すには、既に本人の意識が希薄すぎます。ただ、その先導によって刻まれる足跡は紛れもなく人間の足の形をしています。踏んだ本人の意思が靴底の形に反映されないように、私がそれをどういう気持ちで踏もうが人の足跡です。誇れるものが多くない自身の人生に、唯一、他人に何かを与える可能性をもっている楽曲、ひいては詞たち。それをこの「遺書」という場所へ羅列することで、決して少なくはない人数に自分の生き様をいち人間として覚えておいてもらえる気がするのです。
文章◉澤田 空海理
装画◉田雜芳一
2024.10.25|LIVE/EVENT
短編映画「紅茶と味噌汁」出演者情報解禁
短編映画『紅茶と味噌汁』出演者とトークセッション登壇者が決定しました。
アルバム「ひかり」発売記念 短編映画『紅茶と味噌汁』の出演者情報を発表致します。ミュージシャンの主人公・小暮山シンジ役には、MV「遺書」にも出演して頂いた佐々木 藍さん、小暮山シンジの昔の恋人である笠松ミカ役には、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」などにも出演している辻 凪子さんに決定しました。
さらに、11月10日に行われる『紅茶と味噌汁』公開イベントのトークセッション登壇者も決定致しました。
第一部:
澤田 空海理
吉田 ハレラマ(監督)
佐々木 藍さん(小暮山シンジ役)
第二部:
澤田 空海理
吉田 ハレラマ(監督)
辻 凪子さん(笠松ミカ役)
トークセッションでは、映画の制作秘話や作品に込められたテーマについて、映画のインスピレーション元である澤田 空海理とキャストや監督が語り合います。